退院してしばらくのあいだ、ごはんを作ることがこんなに大変だとは思っていませんでした。
手術の前は、食べられる量のことばかり心配していました。でも実際に困ったのは、「作ること」のほうでした。
今日は、料理がつらかった時期のことと、そのとき助けになったものを書いてみます。
・術後しばらくは、傷の痛みでキッチンに立つのもつらかった
・抗がん剤治療中は、点滴の日と薬を飲んでいる間が特にしんどかった
・義母や母に助けてもらいながら、少しずつ自分で作れるようになった
・あの頃、買い物や食事づくりを助けてくれたもの
この記事は私個人の体験です。術後の回復や抗がん剤の副作用の出かたは、人によって大きく違います。気になることは、主治医や看護師さん、管理栄養士さんに相談してください。
術後しばらくは、キッチンに立つのもつらかった
退院してから1〜2か月くらいだったと思います。はっきりした期間は、もう覚えていません。
お腹の傷が痛くて、背筋をまっすぐ伸ばすだけでも痛みがありました。
キッチンに立っているだけで疲れてしまう。包丁で野菜を切るときも、手に力を入れるとお腹に響く。料理のひとつひとつの動きが、体の負担になっていました。

包丁を持つだけで、お腹に力が入って痛い…

料理って、思っていたより体ぜんぶを使うんだよね。

抗がん剤治療が始まってからは、しんどい日と動ける日があった
手術から1か月ほどで、抗がん剤治療が始まりました。
私の場合は、2週間薬を飲んで、1週間お休みする。これをくり返していました。薬を飲み始める最初の日には、点滴もします。
点滴の日は、帰ってきたら動けなかった
点滴をした日は、体がずっしり重くなるような倦怠感と眠気がありました。家に帰ってきても、しばらく横になったまま動けません。
その日は、義母が夜ごはんを作ってくれていました。「今日はごはんのことを考えなくていい」と思えるだけで、本当に助かりました。
薬を飲んでいる間は、作る気持ちになれなかった
薬を飲んでいる2週間は、少し気持ち悪さが続きました。
食欲がわかず、自分が食べたいものも思い浮かばない。そんな状態で家族のごはんを考えるのは、正直、気が進みませんでした。
味覚も変わりました。煮物のような優しい味を受け付けなくなって、しょっぱいものや酸っぱいもの、はっきりした味が欲しくなる。つわりの時期に似ているな、と思いました。
休薬の1週間に入ると、気持ち悪さがすっと引いて、食欲も戻ってきます。そうすると不思議と、「何か作ろうかな」という気持ちになれました。

今週は作れるのに、来週はまた作れなくなるのかな。

波があるのが当たり前だったよ。作れる週に作れば、それでよかった。
助けてもらいながら、少しずつ戻していった
毎日のごはんで助けてくれたのは、義母でした。
はじめは朝と夜のごはんを作ってもらい、少し元気が出てきたら夜ごはんだけ。そして、だんだん自分で作れるようになりました。一気に戻すのではなく、少しずつ手を離していった感じです。
実家の母も、診察の日にはほとんど毎回、病院の送り迎えをしてくれました。付き添ってくれる日には、手料理をたくさん持ってきてくれて、冷蔵庫に入れておけば何日か助かりました。
今は、抗がん剤治療を外来で受けながら働いている人もたくさんいると聞きます。そう思うと、私は甘えすぎていたのかもしれない、と今でも少し思います。
でも、あのとき無理をしていたら、治療を続ける体力が残っていたかどうかわかりません。治療に専念できるよう周りの人達が支えてくれて、頼れるところに頼ったから、治療に向き合えたのだと思います。

みんなに支えてもらって、こんなに頼っていいのかな。

頼れる人がいるなら、頼っていいんだよ。
あの頃、助けになったもの
買い物は、コープの宅配に頼った
スーパーまで行って、重い荷物を持って帰るのもつらい時期でした。食材はコープの宅配で頼んで、家まで届けてもらっていました。
買い物に出なくていい。それだけで、体の負担がひとつ減りました。
少量で栄養がとれるものを、冷蔵庫に
栄養士さんに勧められて、カロリーメイトやメイバランスを冷蔵庫に入れていました。暑い時期だったので、カロリーメイトの飲むゼリー(りんご味)がお気に入りでした。
キャンディーチーズや、クラッカーにクリームチーズをのせたものも、手軽に食べられて助かりました。
病院でもらった資料にも、「あまり食べられない」「食欲が出ない」ときは栄養補助食品を上手に使いましょう、と書かれていました。少ない量でエネルギーやたんぱく質がとれて、ドラッグストアで買えるものも多いと知り、気持ちが少し楽になりました。
退院直後に食べていたものは、こちらに詳しく書いています。

介護食のレトルトは、続かなかった
やわらかいものならと、スーパーでレトルトの介護食を探して食べてみたこともあります。でも、正直あまりおいしく感じられず、続きませんでした。
「食べやすい」だけでは続かないのだと実感しました。
あとになって冷凍の宅配食を試したとき、「あの頃これがあったら」と思いました。そのときの感想は、こちらにまとめています。

おわりに
退院のときにもらった資料に、「食べられなくても気にせず、自分のペースをたいせつに」と書いてありました。あの頃は食べることにばかり向けていた言葉でしたが、今思えば、料理にも同じことが言えたのだと思います。
食べる量が減ることは、手術の前から覚悟していました。でも、料理そのものがこんなにつらくなるとは、想像していませんでした。
もし今、同じようにキッチンに立つのがしんどい方がいたら、作れない日があっても大丈夫です。頼れる人やサービスに頼って、作れる日に作る。それで十分だったと、5年たった今は思います。
